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親父さんの店

今日の昼は久世で焼き肉。何となく食べたい気分だったので,行ってみた。
駐車場に止めると,その店の離れにある男性の姿が見えた。
その男性は,久世の店は奥さんと息子たちに任せ,その男性が昔から住んでいた
自分の初任校の近くの小さな店を一人でやっていた。
その店はお世辞にもきれいとは言えない。焼き肉やホルモンの油で
どこも薄汚れていた。しかし,ホルモンや焼きそばは絶品だった。
自分が初任の頃はまだ土曜日は出勤する日だったので,先輩の先生方に
よく連れて行ってもらった。そして,ここで焼き肉の食べ方を教わった。
学校を転勤しても,無性に焼きそばが食べたくなることがあり,
一人でその「親父さんの店」に行ってホルモン入り焼きそばを食べに行っていた。
以降親父さんと呼ぶことにする。
何しろかなり脂っこいものが入っているにもかかわらず,焼きそばが
ギトギト油光りせず,たれとソースの配合が絶妙なのと,おそらく
鰹節を粉状にしたものと調味料が何か入っているものを炒めるときに
振りかけているので,それが,絶妙なおいしさを醸し出していたのだと思う。
親父さんと鉄板を挟んでいろんな話をした。世の中をいろんな角度から
見ているのがよく分かった。大げさに言えばそれこそ人生勉強をしている感じだった。
商売っ気のない人で,少し昼の時間を外して行くと店の座席で居眠りをされていて,
時間をあらためていったこともあった。
家で焼き肉をするのに肉だけを買いに行くと,「うちの肉は高いよ。それでもいい?」
なんて言われるが,きちんと用意しておいてくれる。そして肉もおいしかった。
そんな親父さんが店を閉めたと聞いたのが去年の年末。病気がかなり悪いと聞いた。
心配しながらも何となく息子さんの経営する久世の店にも行けず,
そのまま半年がたった。で,今日駐車場に止めて店の離れの奥に見えた男性が
親父さんだった。久しぶりに見る親父さんは,少し年を取ったように見えたが,
元気そうだった。安心して店に入り,焼き肉を食べていると,
息子さんが車いすを押して親父さんがやってきた。息子さん曰く,
「親父がどうしても先生にあいさつしたいって言うものですから・・・」
驚いた。駐車場で親父さんに会釈はしたが,自分のことも覚えていてくれたのだ。
親父さんが
「ご無沙汰しとります。先生,ワシは身体障害者になってしまったよ。」と。
訳を聞くと,胃がんで入院したのだがそれより先に糖尿で左足を切断されたそうだ。
でも,それに対する悲壮感はなかった。「死ぬ目に遭いましたよ」と笑う。
自分も糖尿なので人ごとではないと思った。
でも,こうして出てきてくれて話しに来てくれるのはとてもうれしかった。
親父さんは少し涙もろくなられたのか,目には涙が浮かんでいたが,
しっかりと話す姿は以前の親父さんと全く変わっていなかった。
また顔を見せに行こうと思う。
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