ある日の出来事
ある日,クラスで小さなトラブルが起きた。本当に小さなトラブルだった。それはちょっとした「ふざけ」からきたことだということがわかった。だが自分は,この「ふざけ」「ひやかし」「おもしろ半分」が嫌いだ。元々中野順夫先生がおっしゃっていたことだ。中野先生はレクリエーションの先生で遊びを子どもたちに楽しく教えてくださるのだが,ふざけている子どもには表情が変わる。そして,諭すように話してくださった。これが,教育なのだなと思った。以来,自分も使わせてもらっている。担任している子どもたちにもこれは教えている。なので,「ふざけ,冷やかし,おもしろ半分」という言葉は,合い言葉のようになっている。トラブルについて一通り話を聞いた後,必ず当事者だけでなく,クラスの子ども全員に話して聞かせるようにしている。「自分に関係ないと思ってはいけないよ。今日のようなことは,いくらでもあるよ。そのときに,今日話し合ったことやわかったことをいかして,同じ間違いが起こらないようにしようね。それが,自分を利口にすることなんだよ。」と。また,こうも話した。「先生はみんなを大切に思っているし,かわいいと思っている。だから叱らないということはない。むしろ逆だ。かわいい,大切だと思うからこそ叱ります。それが,みんなのためになると思うから。」すると,一人の女の子がこう言った。「びしびししごいてください。」思わず涙が出そうになった。こうした瞬間は一年のうちにそうそうあるものではない。だが,子どもたちと自分の心がつながっていることが実感できる瞬間だった。また子どもたちを好きになることができた。
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