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筑波大学附属小学校公開研究会 2日目

研究会2日目。余裕を持って会場に到着。が,すでにお目当ての教室はすでに満杯状態。
でも,見ると決めていたので教室の最後尾角に陣取る。そこから約1時間20分。
ずっとぎゅうぎゅう詰めの中,不自然な姿勢で立って待つ。昨日,一昨日と
ずっと歩きづめだったので,その疲れもあってかなりきつかった。
そこまでして見たかったのは,昨日も参観させていただいた白石範孝先生の授業。
白石先生は担任されているクラスで子どもをリラックスさせておられた。
待っている間の1時間あまりも,全く無駄にしていない。具体と抽象についての解説や
文と文を接続詞でつなぐゲームで子どもたちが笑い声を上げ,活動していた。
こうした時間も子どもたちに力をつけるために意図的にデザインされていると感じた。
自分は今まで子どもを鍛えるというキーワードを理解していたつもりだが,
ややストイックにやり過ぎたかもという反省を持った。もちろん自分の教室にも
笑いはある。子どもたちもそれなりに楽しいと思うのだが,それは勉強とは別の
笑いで楽しさを作っていたのではないか。ここに来て思ったのは,学習に関する
知的な笑いや楽しさにあふれていることだ。ものすごくハイレベルなことを楽しく,
わくわくさせながら指導されている。自分も少しでもそんな指導がしたいと思った。
さて,授業。文学教材「百羽のつる」。白石先生の著書にある「逆思考」の展開で
授業は進んだ。最初に短冊で物語の柱を10個提示し,子どもたちに物語の展開の順に
並べ替える活動から入っていた。後の解説によるとアニマシオンの考え方を
取り入れたそうだ。そこから物語の最初と最後の柱を作り,最後の柱から
「なぜ?どうして?」という問いを作り,それを最初の柱に向けて順に
答えていくことで,物語の伏線や登場人物(つる)の行動の意味が見えてくるという。
これならば,子どもたちは確実に読みのめあてを持って読んでいる。
勤務校で研究を進めてきた柱の一つに読みの必然性を見つけるということがあったが,
まさにそのお手本のような授業だった。授業は本当にきれいに流れた。
後の分科会でも白石先生は逆思考の解説に多くの時間を割かれた。
今年新しいのはアニマシオンの手法から逆思考に入っていった点。
これならばなぜ逆思考で授業を進めるのかという説明がつく。また,最後の柱で
多様な問いが出てきたとしても,最初の柱に近づくにつれて集約されてくる。
さらに,強く主張されていたのが,「用語を教える」ということ。
具体と抽象や,今日は主題という用語を指導されていたが,これは強い信念に
基づくものだった。算数では分子や分母という用語を指導して,概念を定義するが,
国語では今までそれがなさ過ぎたという。だから,なんだか訳のわからないことを
しているという印象を子どもも教師も持っていたが,用語をきちんと教えて,
子どもが使えるようになれば,今まで曖昧でつかみ所が無かったものが明確になり,
結果としてより読みが深まるということを熱く語られていた。
自分が白石先生の授業を追いかけたのはこのあたりにある。
今まで大学で国語を学んでおきながら,指導で「これだ」というものが見つからず,
自分でもつかめない感じがあったのだが,それに対する答えを明確に示して
くれている感じがしたのだ。また教室にに戻って実践したいと思う。

午後は総合の授業と分科会に参加。世界の子どもたちの現状を訴え,
子どもたち自身がアクションを起こし,役に立とうという授業。
最初に先生が子どもたちに今日の意気込みを確認し,子どもたちが参加者に向けて
自信が調べた世界の子どもたちの現状を訴え,最後に自分たちが練習してきた
詩の朗読をを参加者に聞かせて,もし,この詩に感動してくれたなら
書き損じの切手やはがきを附属小学校に送ってくださいというもの。
子どもたちの朗読は本当に上手かった。上手いというより,心から大切に思って,
相手に伝えたいという思いが伝わる朗読だった。後で参加者からの感想を
聞く場面で,一人の先生が本当にいい発表だった。残念だったのは,
○○さん(子どもの名前)の朗読が時間が無くて聞けなかったこと。
できれば朗読をリクエストしたいと感想を言われた。それに対して,
担任の二瓶先生は子どもを促し,約500人いる会場で一人,朗読させた。
本当に見事な朗読だった。途中,感極まって涙声になったものの,そのまま最後まで
やり遂げた。素敵な事件だった。二瓶先生もそこまで想定しておられなかったようだが,
子どもたちに与える影響は大きい。もちろんいい意味で。自分たちの活動に
しっかり意味づけがされ,自己肯定感につながる活動だったと思う。

去年もこの総合活動分科会は熱いものを感じる分科会だったが,今年もそうだった。
担任の持ち味を最大限出していいのではないかという主張だった。
二瓶先生も国語教育のエキスパート。だから詩で子どもたちを高めていった。
まさに学級づくり。自分が今まで聞いていた,総合では3年生ではボランティア,
4年生では福祉で,5,6年生では国際で網羅しようということは個々では全くない。
確かに学年に応じた活動のステージはあるが,ジャンル間は全く規定されていない。
担任の持ち味を最大限発揮しようという主張。切り口鋭く,とてもすっきりする主張だった。
今年も多くの学びをいただいた。
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